オリエント急行殺人事件

家の本棚を眺めて、アガサクリスティーのミステリーは「ABC殺人事件」とアメリカ出張時に気まぐれに買った
「Evil under the sun」しかない。だからこのオリエント・・・はたぶん映画で観たのだろう。

エルキュールポアロのイメージに無理やり合わせている感の野村萬斎に最初は違和感を感じたのだが、
観ている内に、それがなければ、バタ臭くてみていられないのだと納得させる力量に脱帽した。

なにしろ、この殺人の結末には驚いた。だから映画を観て結果を知っているミステリーをどう料理するのか?
三谷幸喜は「清洲会議」「古畑任三郎もそうだったが、やはり天才だ!
原作を読んでみたくなる。
面白いから、とうとうウィスキーを傾けながら、部屋の照明を落として、極上のミステリーを楽しんだ。
男優陣は佐藤浩一、西田敏行高橋克実はもとより、沢村一樹が良かった。
真面目な役もできるんだ!
富司純子草笛光子松嶋菜々子の洋装と化粧が昭和初期の時代と当時のヨーロッパの
格差社会を見事に反映し、クリスティーの世界を彷彿とさせた。

陪審員制度って日本にもあったのか?
伯爵とか公爵とか一体いつから日本に定着し、いつ消えていったのか?
え~殺人を許してしまうの~原作もそうだっけ?水谷豊がおこるよ!
まあ、そんなことも気にはなったが、まあ詮索は無粋だ。

刺々しい「銭の戦争」とか「ゴーストライター」のようなステレオタイプの人物ばかりが登場する
ドラマしかできないフジが珍しく落ち着いたいい作品を提供してくれた。