住まいのエッセンス 第2章 リビングその3

富山の一軒家のリビングは20畳くらいありましたが、キッチンが分けられていて、大田区の家と同じ

で食事を運ぶのが大変だったと記憶しています。西側の引き戸を開けると玄関横の和室につながってい

ましたが、間口が半畳でしたので、あまり一体感がなく、広さを有効利用することができませんでし

た。日本海側の家は冬、寒いので、やはり、あまり1部屋を大きくするのは非効率なのでしょう。

屋根の上に太陽熱温水タンクが設置してあり、全室にその暖房機があったのですが、故障していて使え

なく、リビングは石油ファンヒーターを全開にして、さらにエアコンも併用していました。

リビングの北側、東側は大きなガラスを通して、庭に面しており、適度に樹木やコケが植わっていて、

日本庭の優雅さを満喫しました。

ただ、休日にリビングで寝転んで、テレビを見ていましたら、ガラスの向こうに、大家さんの知り合い

という老人が草取りに来ていて、思わずカーテンをそっと閉めたことがありました。家に使用人を入れ

ている人たちの苦労を理解できました。まるで、老人虐待をしているような気分になります。

横浜の仮住まいは、南側に芝生を敷き詰めた広い庭があり、日当たりも静寂さも申し分ないものでし

た。リビングは東西に長く、東側にキッチン、西側に8畳の和室があり、今、考えても理想的な住まい

でした。ただ、これくらいの家を持つには、最低で5-60坪の土地は必要だと思います。リビングと

いうものは、日当たり、静寂、広さというものが大切な要素だと考えます。東向きの家も悪くはないの

ですが、やはり、午後から暗くなってしまうので、終の棲家としては、お勧めできません。一軒家で

は、ちょっと無理かもしれませんが、眺望もあるとさらに、気分はいいものです。そういう意味では、

この家の唯一の欠点は眺望と芝生の手入れでした。

世田谷のマンションもリビングは10畳でしたが、横浜の経験で入居前に、リフォームしてもらい、

リビング・ダイニングをワンルームにしました。キッチンまで合わせると20畳近くなりました。

さらに、南側は多少日当たりが悪くても静かな部屋を選びました。1、2年後に南側の空き地に3階建

ての1軒家が新築され、少し暗くなってしまいましたが、庭が比較的広かったので、冬になっても、太

陽が部屋の隅まで射し込んでくれて、暖かく愛犬メグも陽だまりの中でよく昼寝をしていました。

私の経験では少しぜいたくかもしれませんが、リビングは20畳くらいが一番過ごしやすいような気が

します。ようやく納得のできるリビングを獲得できたのです。裕福な友人の家にお邪魔した時、もっと

広いリビングを経験したことはありますが、そうなると、光熱費はべらぼうにかかってきます。

初めてガス床暖房というものも経験しましたが、これはなかなか快適です。音もなく、熱が下から上が

り、自然に部屋全体が暖まります。光熱費もエアコン、床暖の組み合わせで割とリーズナブルになりま

す。石油のように、タンクを貯えたり、給油の手間もありませんし、何と言っても、空気がきれいなこ

とが一番です。